確定申告は税理士に頼むべきかどうか
餅は餅屋で、効率の面で考えればプロに頼んだ方が圧倒的に時間効率は良いです。難易度もそれなり高いため、税理士に任せた方がいいでしょう。税理士費用は飲食店の場合、年間50~60万円ほど。ちょうど控除額で税理士に会計業務を外注できます。
しかし2度や3度はご自身で確定申告をすることを私はあえておすすめします。なぜなら飲食店は事業規模に対してかなり経費の種類が多く、”丼ぶり勘定”になりがちです。日々の経費計算や確定申告を自分で行うことでお金の流れを把握でき、かなり経営感覚が研ぎ澄まされるようになります。
特に青色確定申告となれば簿記の学習をすることになります。面倒に感じますが、改めてお金の流れをを学び直す良いきっかけになり、経営の視野が広がる達成感を得られますよ!
白色確定申告と青色確定申告
家計簿に似た方式で簡単に記帳できるノが「白色」確定申告。一方、「青色」確定申告は白色に比べて細かく記述する必要があり、お金の流れが明確です。青色確定申告は税の隠蔽を防げる記帳方法であるため本来全ての確定申告が青色であるべきですが、経費計算が慣れていない素人でも税を申告できるよう白色確定申告という制度が設けられています。青色の方が手間がかかる分、税金を65万円おまけ(=控除)してもらえます。
青色申告承認申請手続をすべきタイミング
とは言え、いきなり青色申告をするわけではありません。今年は白色申告の方式(家計簿のような方式)で経費計算しているでしょうから、来年分から青色確定申告できるよう学習をはじめましょう。
また学習だけでなく手続きも必要です。青色確定申告をするには3月15日までに税務署に「所得税の青色申告承認申請手続」という名前の書類を申請しておく必要があります。下の書類を印刷して記入し、郵送しましょう。
所轄の税務署にいって「青色確定申告したいです」と伝えれば同様の書類がでてきますので、その場で提出することもできます。名前など基本的な情報を書いて印鑑を押すだけの簡単な書類ですので、すぐに行動したいところです。
青色確定申告をためらう方へ
「所得税の青色申告承認申請手続」を出したからといって、必ずしも青色申告しなくてはいけないわけではありません。実際にチャレンジしてみて挫折したら、申請なしで白色確定申告を提出しても問題ありません。つまり青色確定申告にチャレンジするのはノーリスクですから、是非学習し、青色申告承認申請手続を提出しておくことをおすすめします。
会計ソフトをダウンロード
青色申告承認申請手続ができたら次にすべきことは会計ツールのダウンロードです。ソフトを使わずに手書きで青色申告するのは、素人にとってかなり困難です。freeeかマネーフォワード、どちらのソフトも使ってみましたが大差はありません。両者とも料金の変動が見られるため、登録時点でリーズナブルな方を調べて登録しましょう。使い方もたくさんのガイドがでているため、ネットで調べれば丁寧な解説がたくさんでてきます。
今からできること:「発生主義」で記帳する癖をつける
買った日と支払った日をわける、売った日と入金された日を分けて記帳することを発生主義といいます。白色と青色の大きな違いの1つですが、早めに慣れておくことで青色申告のへの移行がかなりスムーズになります。難しい説明より具体例でみていきましょう。
現金やりとりの場合
2/12 に肉屋さんで和牛を購入(することを決めた)
2/12 に肉屋さんに現金で支払った
このように現金やりとりの場合は、購入日と支払日が同じになります。次に、後日請求の場合をみていきましょう。
後日請求(掛払い)の場合
卸業者から食材を購入したり、遠方から食材を取り寄せている場合などは購入日と支払日が異なることが多くあります。
2/12に卸業者にチーズを発注(購入することを決めた)し、1ヶ月分まとめて掛払いにしてもらった
2月末にチーズ代の請求が確定
3月10日に支払った
というように、お金の動きが「発生」した日ごとに記帳する必要があります。面倒ではありますが、この作業を通じてお金の流れがよくわかりますし、まとめて取りかかれば大して時間もかからないので是非チャレンジしてみてください。
switchさんの投稿、参考にさせていただきました。ありがとうございます!
自学してコストを抑えるか、外注して手間を省くか。
確定申告に限らず、金銭的コスト VS 時間的コスト の問題は経営につきまといます。一般論では時間的コストを減らし、外注することが正義とされていますが、元々利益率の低い飲食業界では金銭的コストを抑えることも重要です。青色確定申告は面倒な分、65万円分の節税効果があります。飲食店にとって65万円の節税ができることは、700~800万円の売上を上げなくて済むと同等の価値がある行為です。
最後に。会計は抑えるべきコスト、かけるべきコストは…
飲食店のコストは確定申告の外注費に限りません。内装、ホームページ、集客、ゴミ収集、写真撮影、メニューブック、クリーニング、音響…と非常に様々なコストがかかります。コストを全ての削り外注をやめるわけにはいきませんから、優先順位をつけることこそが経営判断ですが、その基準はどうあるべきでしょうか。